
『オジークローンか!?帰ってきた改造人間"小嶋裕介V3”
【日時】2014年4月6日(日) OPEN 17:30 /START 18:00
【会場】下北沢CLUB Que
【出演】VASALLO CRAB 75/HARISS/岩瀬敬吾/Swinging Popsicle/70/QV
【料金】前売券 2,500円 / 当日券 2,800円 (+1D)
撮影 山崎ゆり/編集 黒須 誠
レコ発ツアーやイベンター仕切りの「音楽を伝えるためのイベント」とは異なり、一人の人間の復活をお祝いするという極個人的な、属人的な視点でのライヴイベントというのは、ある意味日常の中に音楽が当たり前のように根付いている現代でも、それほど多くはないというイメージがある。それは「個人的なことを公の場に持ち出す」ことに対する心理的な抵抗、「公の場では私的なことは見せないのがプロである」といったなんとなく見え隠れする考えがあるからなのだろう。
とはいえ古くは教会での讃美歌に始まり、祝祭時での歌や踊り、結婚式での歌、身近なところでは誕生日にハッピーバースデーと歌うなど、日々の生活を営む中で私たちは自然と何かのお祝い・記念時に歌を歌うという習慣が当たり前のようになっているし、そもそも歌や音楽の起源をひも解いてみるとその役割としては「情報伝達の手段」「人に何かを伝えるため」に音楽が発展してきたことを考えれば、お祝いをするために歌を歌うというのは、とても自然なことだ。
先日も星野源が病気からの復活記念ライヴを武道館で行ったのは記憶に新しいし、advantege Lucyらが毎年開催している故人を偲ぶイベント「胸キュンアルペジオ」、若くして亡くなったヴォーカル西山達郎の代わりに毎回豪華なゲストを迎えて行われる「初恋の嵐 with friends」によるライヴも公の場でのイベントではありながらも、そのきっかけは個人的なものによる部分が大きいと思われる。
この日はVASALLO CRAB 75のギタリストであるオジーこと小嶋裕介の復活記念ライヴ。昨年彼は大病にかかり一時は生命の危機に見舞われたものの、こうして無事にライヴができるまでに回復、それを祝って旧知の仲であるミュージシャン及び下北沢CLUB Queの店長二位が今回のイベントを企画したという。
集まったのはキュマバロウの70、元19で今はソロのシンガーソングライターとして全国を飛び回っている岩瀬敬吾、前日の岐阜でのライヴから駆けつけたベテランポップ・ロックバンドのHARISS、三声のコーラスワークと美しいメロディが特長のSwinging Popsicleら4組とVASALLO CRAB 75の計5組。各出演者は「オジー復活おめでとう!」というメッセージを出しながら、いつもと同じように、いや、いつも以上に激しく躍動感あふれるステージを見せてくれた。
70がお得意のシンセを生かした高揚感あふれるエレクトリカル・ノイズ・ロックで会場のボルテージを上げると、続いて登場した岩瀬敬吾がギター片手にしっとりとバラードを披露しファンを魅了、途中Swinging Popsicleが入れ替わるように登場して一曲岩瀬の「モノクロ」をサポートし、続けてポプシの「輝かしき日常」を岩瀬が一曲逆サポートするといったこの日ならではのセッションも見せた。その後はアッパーかつリズミカルな選曲で激しいポップ・ロックを見せつけた後、岐阜から駆け付けたために、リハーサルなしでステージに飛び込んだHARISSが、これまた彼らお得意の手拍子やコール&レスポンスなども使いながら終始全力の激アツサウンドで飛び跳ねながら会場を身体的にも最高に盛り上げた。最後はVASALLO CRAB 75が登場、以前と何ら変わりのないオジーが、バンドがそこにあった。アンコールは、初期の名曲「Vicious Circle」。キラキラした美しいギターのアルペジオが、オジーの完全復活を確かなものにしていた。
この日は時間の都合で各出演者20分から30分程度のステージと少し短めではあったものの、会場にいたファンは終始笑顔であったのが印象的だった。最後にVASALLO CRAB 75、オジーが登場したときは、会場は大歓声に包まれ、多くのファンがとめどない拍手を送っていた。終演後あちこちから、いいイベントだったね~という声が聞こえてきたのは、歌が持つ本来の「気持ちを伝える」ということが、各バンドの想い=音楽を通して肌で体感できたからであろう。
音楽のために歌う、のではなくそこに人がいて気持ちがあって、伝えたいことがあるから歌う、というごく当たり前ながら、歌が持つ力、どこか忘れがちな原体験を感じたイベントだった。
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