今回の裏表紙はAlma-Grafe(アルマグラフ)。ポプシクリップ。が始めた音楽レーベル「miobell records」がお手伝いしているバンドです。きっかけは3年前に僕らが主催したPOPS Paradeでカバーイベントをやったんですけど、そのときは「藤島美音子&カナリヤ」というバンド名でした。そのカバーバンドが母体になってオリジナル曲を作りはじめたんですよね。
このバンドはSwinging Popsicleとバサロクラブ75のメンバーに後からNorthern Brightの島田さんが加入したベテランミュージシャンによるバンド。当初はすぐに活動開始できると思っていたんですけど、こうして本格的に活動をスタートするまでに2年以上かかりました。その間何もしていなかったわけではなくて、実はほぼ毎週のようにスタジオに入って試行錯誤をしていたんです。結成して半年で一度スタジオに入ってレコーディングもしました。
今だからわかるんですけど、メジャーと違ってインディーズは締切があってないようなもの。メジャーであればリリース日が決まったら基本的にはその時期に出します。多少ズレることがあったとしても「仕事」だし多くの人間が関わっているので、作品を出して売上をあげていかないとメンバーもスタッフも食べていけなくなるし、事前に仕込んでいたプロモーションやキャンペーンなども無駄になってしまいます。
でもインディーズの場合、そこがわりとバンドによって考え方が異なるんですよね。wafflesのように期限決めたら必ず出す!というバンドもありますが、そうでないバンドも多いんですよ。出さないと生活が困るというわけでもないし、楽しく音楽を鳴らしたいわけだから、無理してやるよりも納得のいくものを作る、またはタイミングが大事だったりするわけです。新人バンドと違ってそれぞれ別のバンドも現在進行形でやりながらとなるので、集まるだけでも大変ですからね。一昨年の取材でヒックスヴィルのメンバーも同様のことを話されていて、タイミングがあったから作れたというのは、よくあることなんだそうです。
じゃあ何故今回本格的に動くことになったかというと、昨年夏に彼らの新しいデモを聴いたんです。いくつか聴いたデモの中で今回収録している「三日月猫」にピンときて。それでシングルカットでリリースをしたいという話をメンバーにしたところ、メンバーも前向きに考えてくれて。同じ頃、杉本清隆さんとも雑談でスタジオアルバムについて立ち話をしていて。じゃあ僕らがレーベル「miobell records」を立ち上げるから一緒にやっていこうということになったんです。
もちろん僕らでなくても彼らの音楽を聴いてリリースをしたい人がいたらいつか世には出ていたと思いますが、それがたまたま今の時期で、たまたま僕らだったということなんでしょうね。リリースをすることは様々なリスクを背負うことにもなるけど、それでも届けたい、伝えたいと思えた、情熱が出てきたというのが一番の理由です。
話がそれました。
彼らのインタビューはシューゲイザーディスクガイドでもお馴染みの音楽ライター、黒田さん(@otoan69)に知り合いの伝手を辿って、お願いをしました。黒田さんは洋楽に長けておりメンバーのことを知っているので、アルマのルーツを探る上でいいんじゃないかと。 また裏表紙や記事の写真はコムロミホさん(@comuromiho)という女性カメラマンにお願いをしました。コムロさんとは別の仕事で何度かご一緒させてもらったことがあって、とても雰囲気のある写真を撮る方で。普段は大手カメラメーカーで講師を務められたり、企業カタログや広告などに使う写真を撮りに世界各地を飛びまわったり、カメラの解説本を出されたり、雑誌で記事を執筆するなどマルチに活躍されている方です。街角のスナップ写真やストリート写真に定評があるので、曇天の中で都会的なイメージを作り出すにはピッタリでした。ちなみに撮影場所は恵比寿です。それとヴォーカル美音子さんが着ている衣装はルヴィオネというファッションブランドとのコラボレーション。気になった方はそちらもチェックしてくださいね。
今回のマガジンでは彼らの初作品がCDとしてついています。2曲入りで「三日月猫」はWEBでも試聴できますが、ぜひCDクオリティで楽しんでもらえたらと思います。また「揺るぎなきソウル」はこのCDにしか入っていない新曲です。あと特集記事の中で登場する「汽車を待つ列を離れ」は、彼らのオフィシャルサイトで試聴できるのでぜひチェックしてください。
杉本さんもアルマグラフも今後さらなる作品リリースに向けて検討していますので、そちらもお楽しみに。
アルマグラフオフィシャルサイト
ポプシクリップ。マガジン第8号
https://www.popsicleclip.com/2017/01/13/diary00012870/