MK日記。-メディア掲載にはいくらかかるのか?だからこそ、音楽パブリシストの重要性が高まっている

こんにちは、音楽パブリシストのMKです。

前回は「インディーズバンドがPR費用をどれくらい確保できるのかざっくり検証」してみました。

結論からいうと、CDが最低1,000枚程度、できたら2,000枚とか3,000枚とか売れないとまとまった「宣伝」予算の確保は難しそうという結論に。

 

そこで今回はメディア掲載にあたり必要な予算はどれくらいなのか考えてみたいと思います。

WEB,雑誌、ラジオ・・・メディア掲載費っていくらかかるの?

 

「宣伝」としてバンド側がメディアに媒体費用を支払うスポンサーとなり確実に露出したい場合を想定します。

今はネット全盛の時代、インディーズバンドができそうな現実的なものだけを列挙しますね。

なお下記は私が見聞きしたもの、公開されている媒体資料などをもとにざっくり書いています。

実際にはケースバイケースで変わりますので、あくまで参考としてください。

 

 

〈余談〉

・WEBの場合はリリース単体、インタヴュー単体というのはあまりなく、そのWEBサイトで特集を組むというかたちで、リリース、インタヴュー、レビュー全て込みでいくら、というやり方をすることが多いですね。

 

・雑誌の場合、厳密にはインタヴュー掲載するからいくらではなくて、その雑誌の広告スポンサーとなる代わりにそのバーターでインタヴューやディスクレビューを記事にしてくれる、という形が多いです。例えばA4サイズで1ページ分の広告費用を支払う代わりにインタヴューで1ページ掲載してくれる、といった具合です。

 

・どのメディアも影響力が強い大手や歴史のある媒体ほど、信用やブランドもあるため、広告費用は高くなります。値段のバラツキは媒体毎の影響力の違いです。ラジオも地方局は安く、全国ネットは高めとなります。

 

・ここでは書いていませんが、レコードショップ店頭で大きな看板が出ていますよね。人気アーティストの看板が出ていたり、試聴機に入っていたり・・・あれも基本的には数万円から数百万円の販売促進費が必要な場合があります。(ただしお店の方が気に入ってくれて、お店の手作りの場合はお金はかかりません。結局いい作品を人気のある楽曲が生まれたら自然と口コミで拡がっていくものなので、拡がらなかったら、そもそもいい楽曲を書けていないと、次の作品作りに向かったほうがいいのかもしれません、このあたりの判断は難しいところですが・・・)

 

・WEB広告、今はバナーよりもリスティングやリマーケティング、FACEBOOKのターゲティング広告などが主流ですし効果があります。特にリスティングやFACEBOOKなどのSNS広告は数百円、数千円からスタートできるものもあるので、試しにやってみて、効果が出たら予算を増やし露出をあげていくといったこともできます。

 

 

WEB

雑誌 ラジオ
リリース記事掲載 無料~数万円程度 無料~数万円程度
インタビュー記事掲載 5万円~40万円程度 30万円~150万円程度
ディスクレビュー記事掲載 無料~数万円程度 無料~数万円程度
雑誌表紙 数百万円程度
純広告 3万円~150万円程度 30万円~150万円程度
番組で1カ月ヘビーローテーション 数十万円~数千万円程度
1番組に1回生出演 数十万円~数百万円程度

前回試算したAパターンで、媒体費に30万円強の予算を出せる場合、現実的なところで考えると

 

・大手音楽WEBサイト(数千万PV/月)、1カ所でのリリースとインタヴュー記事掲載

・中堅音楽WEBサイト(数百万PV/月)、2カ所でのリリースとインタヴュー記事掲載

・中堅のフリーペーパー(20万部発行)に小見出しの記事を1カ所掲載

 

上記いずれか一つで予算を使い果たしてしまうことになります。

 

インディーズでも積極的に複数のWEBメディアやラジオその他の媒体で宣伝しているアーティストはいます。話を聞くと50万から100万程度をPR予算として確保しているそうです。またリリース時に複数の音楽雑誌の表紙を同時に飾っているようなメジャーバンドの場合は500万から数千万円のPR予算を組んでいるそうです。彼らの場合は数万枚から数十万枚売れるからできるわけですが、規模としてはそんな感覚でしょう。

 

 

下記はネットで見つけた広告料金表です。参考までに。

 

・タワーレコードのフリーペーパー「bounce」の広告料金

http://tower.jp/ad/bounce

 

・音楽雑誌の広告料金一覧

http://www.hrks.jp/ad_music/

 

・インターネット広告の種類や媒体資料、料金相場130選(音楽系ではないですが一応)

https://moduleapps.com/mobile-marketing/20150903_netad/#nad01

 

・地域別ラジオの料金表

http://www.radioad.jp/cat/adcharge

 

 

 

こう考えると小規模の、500枚程度の販売しかないバンドにとっては、「宣伝」で露出をしていくことは現実困難です。1,000枚売れて、少し宣伝できるかどうか。ただ、音楽だけでやっていくならばそもそもこの印税ではバンドメンバーは生活できませんので、結果PR費用にそこそこ予算を出せるのは、2,000枚、3,000枚以上売れるアーティストに限定されてくるだろうと考えます。

 

 



〈余談〉

「宣伝」としてメディアに掲載していただくためには一定規模の予算が必要です。だからこそ資本力のある大手の事務所やレーベル、レコード会社に所属している人気アーティストでないと、メディアへ確実に取り上げてもらうことができないわけです。その代わり各メディアには固定客、ファンがいます。各メディアも一生懸命考えてくれますので、PR予算を確保できるならばメディアさんにお願いして宣伝してもらうことは大事だと思います。

 

だからこそパブリシティの重要性が高まっている

 

話が長くなりすみません。もう少しだけお付き合いください。

 

上記を踏まえるとPR予算の厳しいインディーズバンドは、ほぼゼロ円でメディアへの記事掲載を獲得する、音楽パブリシストによるパブリシティ活動を、PRの軸に据えることが、選択肢として重要になるのではないでしょうか?

 

パブリシストによる広報活動は、記事の掲載保証はありませんけど、掲載された場合、宣伝費換算として数万円から数十万円、数百万円の効果を出せることもあるわけです。創意工夫、知恵とアイデアでメディア露出を獲得できることもあるわけなので、バンドさんは機会があれば音楽パブリシストに相談をしてみてはどうかと思うのです。

 

 

私の周囲の音楽パブリシスト仲間のインディーズでの実績、例えば最近では下記が挙げられます。

 

・国内外の音楽WEBメディアでのリリース記事、インタヴューの掲載

・音楽WEBメディアでのライヴレポートや連載記事、動画の掲載

・雑誌メディアへのレビュー記事の掲載

・国内の大手新聞やフリーペーパーでの記事掲載

・ラジオメディアでの楽曲放送、番組生出演

 

 

ありがたいことに全てパブリシティ活動のみで掲載いただきました。宣伝費に換算したら数百万円相当になります。この数百万円相当の効果を、ほぼゼロ円で生み出せる可能性もあるのが、パブリシテイの魅力、醍醐味なんです。

 

音楽ニュースサイトもたくさんありますよね。音楽ナタリーさん、リアルサウンドさん、CINRAさん、OTOTOYさん、CDジャーナルさん、BARKSさん、MUSIC VOICEさん、POP SCENEさん、Indiegrabさん、RO69さん、ビルボードさん、Skream!さん、MUSIC-MANNETさん、ビーストさん、マイナビさんなど。これらの一つにでも自分のバンドが取り上げられたら嬉しくないですか?

 

音楽パブリシストに依頼すると上記のような露出=パブリシティを、予算をあまりかけずにできることもあるのです。


上記以外にも音楽イベントにお誘いいただいたりといった副次的な効果もありました。

 

(繰り返しますが、宣伝とは違い掲載結果の保証はできません。しかしながら音楽パブリシストはメディアの特性やどういう切り口にしたら掲載してもらいやすいのか、などを理解していますので、バンドが自分たちでやるよりも掲載される確率、拡がる可能性は高くなるわけです)

 

 

〈余談〉

・パブリシストはメディアの方々とのつながり、パイプを持っています。記事掲載までには至らなくても、メディアの方に自分たちのバンドを知ってもらったり、楽曲を聴いてもらうことはできるかもしれません。そうした地道な営業的な活動が、将来実を結ぶこともあるのです。

・メディアに掲載されること=CDが売れるというわけではありません。(売れてほしいですが、効果測定が難しい)。バンドを知ってもらうきっかけ作り、までしかできませんが、そこでこれまで自分たちのことを知らなかったリスナーに届けることができます。

 

最後に

 

 

エンタメだと、映画作品や俳優・女優にパブリシストがいることをご存知の方も多いのではないでしょうか?

 

PR会社に所属している方、配給会社に所属している方、フリーランスも多いのですが、映画作品をあの手この手を使ってメディアに取り上げてもらい、売っていく仕事で華やかなイメージを持たれている方も多いと思います。

 

音楽パブリシスト、インディーズバンドの現場ではその業務をマネージャーが兼務している場合も多いです。映画のパブリシストなどと比べるとかなり地味な印象もあり、その存在はほとんど知られていません。


日本ではまだパブリシスト市場ができているとは言いづらく、専門でやっている人は少ないんですね。単独の職業として日本ではまだ成り立ちづらい、というのも実情ですが、役割として必要なのは言うまでもありません。


それにとてもクリエイティブで楽しい仕事です。リスペクトしているバンドと一緒に企画を考えて実行していく、彼らをサポートしていくことは、何よりとても楽しいのです。

 

 

それと、、、インディーズバンドにおける音楽パブリシストは一人、フリーの世界でもやっていけるようなたくましさがないと少し大変かもしれません。会社に属している方でも、その担当者個人に人脈があって会社に属してようがフリーランスでやっていけるような人が強い。それは後述しますけど、クライアントとなるバンドに予算制約があるからなんです。だから一人で何でもできる、活動できる人が望ましい。

 

何故ならば企業・会社に属しているとその会社としてのつき合いやネームバリュー、予算ありきでできるPR活動がたくさんあるんですよね。一方で看板がはずれると急に何もできなくなってしまう方も多いのです。

 

 

もしクライアントのバンドが人気バンドで予算があれば、フリーの音楽パブリシストに依頼をするよりもPR専門会社に依頼したほうがいいでしょう。極端な話、電通や博報堂などの広告代理店の中にあるPR部門、博報堂ケトル、ブルーカレントジャパン、サニーサイドアップ、オズマPRといったPR専門会社に依頼をしたほうが、面白いパブリシテイができると思います。大きなレコード会社だとPR担当が実務をPR会社に委託することもありますから。

 

私が大事にしているのは、「駆け出しの新人バンド」や「ベテランでも売れる売れないの世界には疲れてしまって、今は自分たちの好きな音楽だけを追求し続けているDIYバンド」さんです。いい作品を作っているミュージシャンは世の中にたくさんいるけど、スポットライトの当て方が少し間違っていたり、そもそも当てられていなかったり・・・そんなバンドさんの魅力をもっと伝えたくて音楽パブリシストをやっています。

 

 

 

 

 

少々長い記事になりましたが、音楽パブリシストについて興味を持ってくださる方が一人でも増えたらいいなと思います。最後、宣伝になりますが、来週から始まるOTOTOYさんの「音楽パブリシスト養成講座」にゲスト講師として招待いただきました。

 

まだ音楽パブリシストとしては3年目ですが、音楽ライター経験での各種取材話なども交えながら、音楽業界に関するお話、どうやってメディア掲載やタイアップを行っているのか、など色々なお話ができると思います。。。私も今回ボランティアで参加します。相互扶助の精神でね。ご興味あるかたはぜひ当日お会いしましょう。

 

 

・OTOTOY音楽パブリシスト養成講座

http://ototoy.jp/school/event/info/247