コントラリーパレードのレコーディング9日目(最終日)、そしてミックスへ

こんにちは、ポプシクリップ。@ミオベルレコードです。

コントラリーパレードのスタジオレコーディングも9日目、結果として最終日になりました。この日は最後の歌のヴォーカルとコーラス録音で乃木坂にあるソニー・ミュージックスタジオへ。

ラッキーなことに憧れのスタジオの一つであるソニースタジオで録音する機会に恵まれました。地下2階のマスタリングスタジオには何度も来ていますが、地下3階にあるレコーディングスタジオは初めてです。いつも扉の外からいつか使ってみたいよね、と妄想だけしていました。


はっきりいって駆け出しの個人レーベルにとっては明らかにオーバースペックというか贅沢すぎる環境です。だって隣のスタジオを使ってるのはジャ◯ーズだったり、有名な演歌歌手の芸能プロダクションだったりですよ。。。


先月three berry icecreamのマスタリングで乃木坂に来たとき、エンジニアの方と録り音の話をしました。そのときソニースタジオには往年の様々なマイクがきちんとメンテナンスされているから一度試してみたらという話があったんです。

またアルマグラフやSwinging Popsicleの美音子さんからもソニースタジオは機材管理がしっかりしているし、マイクだけじゃなくて全てにおいて本当にいい音で録れるスタジオだからと話を聞いたこともありました。


とはいえソニースタジオは国内最高峰のスタジオの一つと言われるだけあって、お値段も立派です。色々な意味で気軽に使えるところではない。スタジオはとても神聖な場所でもあり、ミュージシャンの遊び場でもあり。有名なフリーダムスタジオや昔はL⇔Rやスピッツ、最近だとシンリズムさんも使っていたスタジオグリーンバードなど名作アルバムのブックレットから見えてくる憧れのスタジオたち。音楽レーベル始めてから色々調べてみるともうすごい値段で(^^)、個人のインディーズレーベルでは予算上絶対無理なんですけど、でもいつか使ってみたいなあと憧れを持っていたのも確か。


もっと言うと数年前に高橋健太郎さんが書かれた「スタジオの音が聞こえる」という世界の有名スタジオのエピソード集のような本を読んだり、最近買った「The Great British Recoring Studios」というイギリスのアビー・ロードスタジオをはじめとした、様々なスタジオが紹介されている本を読んだりしていたから、それの影響もあって。


そんな中で運良く使わせていただけることになったソニースタジオ。今回はアルバム録音中だったコントラリーパレードの歌を試しに録ってみることになったんです。いや、完全に予定外なんですけど、せっかくの機会だからということで。


これまでに色んなミュージシャンの方から、今の時代は大きなスタジオを使う必要はないし、宅録でも小規模なスタジオでも十分にいい音で録れるよ、という話を聞いてきました。

大きなスタジオは例えば大人数の弦楽器を録音するなど、特別なときに使うのがいいよと。まさにそれはその通りで、コストパフォーマンスの観点からも、それに間違いはないんですけど、一方でじゃあ大きなスタジオと小さなスタジオの違いは何なのかなあと、疑問に思っていたところもあって。それを知る上でも、私としては今回勉強させてもらうつもりでも使わせてもらったのでした。もちろん本当の目的は彼女の歌をいい音で録るということです。それが一番大事なこと。



今回は5番スタジオを使わせていただきました。ヴォーカルレコーディングやドラムレコーディングにちょうどいいブースがあります。大人数で録るときは1番2番スタジオを使うそうです。



マイクのセッティング中。
この日はマイク選びからスタート。

提案いただいたのがノイマンのビンテージマイクのU47とU67、それに現行のm149とソニーのC800G。

4本のマイクで順番に1コーラスずつ録音、それを聴き比べて曲に合うマイクを選びました。

コントラリーパレードの今回のレコーディングでは、ビンテージのU87と現行のm149を使っていたので、3本のマイクがお初でした。



試し録りを聴き比べた結果、U67とC800Gの2本でレコーディングすることに。歌の存在感、キャラクターが出るのはU67なんですが、高音域の抜け感の気持ち良さはC800Gだったんですよね。ちなみにこのC800Gはマライア・キャリーの7オクターブの歌を録るために開発されたマイクらしい。7オクターブって、、、




コントロール・ルームの様子。使われているモニタースピーカーはマスタリングスタジオと同じもの。つまりレコーディング、ミックス後のマスタリングまで同じ環境で聴けるようになっています。



レコーディング中、ブース越しのたなかさん。



トークバック用のスイッチ。スタジオロゴがあるからオリジナルなんでしょうね。



レコーディングした歌をチェックするたなかさんとエンジニアのお二人。真剣です。何度も聴きながら細かな修正をしたり、納得いくまで録り直しを何回もやりました。



コンソールはイギリスのAMS Neve社の8872RS。ビンテージではなく現行品。話で聞いたのと本でしか見たことがなかったから、なんかドキドキしました。



今回お世話になったレコーディングエンジニアの米山さん。初対面でしたがとても気さくな方で、私やたなかさんとも年が近くリラックスして録音できました。ありがとうございました。


結果からすればとてもいい音、納得できる声が録れました。初めてのスタジオで、いつもより早い時間帯のレコーディングだったので声が出るのか不安だったんです。でもスタジオの皆さんとたなかさんご本人の力で、歌の魅力を最大限に引き出せたのではないかと。

特にC800Gは力強く伸びていく彼女の高域表現において重要な役割を果たしてくれたのは新しい発見で。そのヌケ感や表現力が楽曲にとてもマッチしていたんです。U67ももちろんいい仕事してくれたので、ミックスがとても楽しみになりました。
 

エンジニアの方々も彼女の声を絶賛していました。ライブもさぞすごいんでしょうね、と驚かれていましたね。そう言ってもらえると嬉しいよね。確かにこの日のたなかさんは神がかっていて、歌えば歌うほどどんどん良くなっていったし。


なんとなくですけど、ソニースタジオの良さも少しだけわかりました。身分不相応ではあるけれど、ミオベルレコードとしては必要なときにはアーティストに提案できるようになりたいですね。録り音はやはりいの一番に大事で、それがよくわかったレコーディングでもありました。次使えるのはいつかわかりませんけど、、、



コントラリーパレードのレコーディングはこれにて終了、この後はミックス、マスタリングと続きます。



レコーディング終了後に、空いていた2番スタジオを案内してもらいました。写真はスタインウェイのピアノを試奏するたなかさん。2番スタジオはブースがたくさんあって一発録りで使うバンドも多いらしい。今度何かの機会でやってみたいですね。



Scene 39