ぱいなっぷるくらぶは自分が好きな電子系の音楽をやる、という感じで（常盤）
──二人の出会いのキッカケを教えてください。
常盤ゆう（Vo/Key） 「私のやっているyou & me together（以下、ゆーみん）のライヴでたまたまトルネード竜巻の二木さんが見に来てて気にいって、二木さんがまきちゃんにCDを聞かせてまきちゃんも気に入ってくれて、次のライヴに二人で来てくれたんです。それが始まりですね」
──ぱいなっぷるくらぶの音楽は、常盤さんがやっているrisetteやゆーみん、なかさんのトル竜と音楽的接点はないですよね。ジャンルも異なります。
なか 「たしかに違いますよね（笑）。以前やっていたバンドではヴォーカルメインでしたので、そのバンドの世界観に沿ってやってた部分があったと思います」
──トル竜とぱいなっぷるくらぶでは何が一番違いますか？
なか 「ぱいなっぷるくらぶのほうが、より自分のキャラクターを体現している感じですね。トル竜では、バンドだから表現できる、バンドでしかできない醍醐味を経験させてもらいました。活動していくうちに自分が好きなこともさらに見えてきて、自分で曲を作りたいと思ってきて」
──それはサウンド面だけですか？ ビジュアルなどバンドが持つ空気感も？
なか 「両方ですね。まず音楽があって、音楽性が変われば必然的に見せ方も変わるので」
──常盤さんはいかがですか？ 以前別のインタヴューで“risetteはリーダー森野さんのバンドにヴォーカリストとして参加するスタンス”だと話されていましたが？
常盤 「私の場合、３バンドとも棲み分けが全部違うんですよね。risetteは今話されたように森野君の世界にヴォーカルで参加するというスタンス、you & me togetherはバンドとしてみんなでやりたいことを実験的にやる場所、ぱいなっぷるくらぶは自分が好きな電子系の音楽をやる、という感じで。やりたいことをやっていますね（笑）」
──ぱいなっぷるくらぶで表現したかったことは何ですか？
なか 「ハッピーに、わいわい楽しく音楽やりたかったんです。あと音楽的にはシンセの音やカッチリしたダンス・ビートが好きだったので、それらをバンドとは違う音像で表現したかったんですよね」
常盤 「（音だけでなく）自分たちで色々なものをコーディネート、全体をデザインするのが好きだからそういった面も出したいとも思ったし」
ルシャス・ジャクソンみたいな女性の声が心地よく重なるバンドをやりたいなと思ってました（なか）
──音楽性に関連してお二人が影響を受けたアーティストについて教えてください。
常盤 「私は…最初はやっぱり電気グルーヴですね。1999年に彼らの［FLASHBACK DISCO（フラッシュバック・ディスコ）］を聴いて自分の中で弾けちゃいました（笑）。こんなハッピーであったかい音楽があるんだって、衝撃（笑）。その前はバンド一辺倒だったので。ただ、ステレオ・ラヴ（Stereolab）とかBuffalo Daughter（バッファロー・ドーター）とか好きで、電子音やループのグルーヴにハマっていたことだったから流れはあったかな。電気に出会ってからテクノやエレクトロニカを聴き始めた感じです。砂原良徳のサウンドも大好き」
なか 「小学校ではアイドルソングが好きで、その後洋楽を聴いていった感じですね。ずっとピアノを弾いていたので、高校のときにTori Amosというシンガーソングライターに影響受けて、大学でバンドしようと思いました。女性ヴォーカルが好きで、特にルシャス・ジャクソン（Luscious Jackson）というバンドの声が好きで、ルシャスみたいな女性の声が心地よく重なるバンドをやりたいなと思ってました」
──なかさんはシンセがお好きとのことでしたが？
なか 「トル竜をやっていたときにメンバーの曽我さんのシンセを触らせてもらったんですよ。それで自分でも欲しくなって“オーバーハイム（Oberheim）”というシンセを買ったんです」
──いきなりプロが使うような専用機材を手にされたんですね。普通、オールインワンシンセと呼ばれるピアノ、オルガン、ホーンにリズムなど一通りの楽器が入っているタイプを選ばれる方が大半なんですが（笑）。
なか 「オールインワンシンセの音色よりアナログっぽいほうが好きだったので。自由に音作りもできるし。あと見た目もかっこよかったので（笑）」
一同 「（笑）」
なか 「見た目がかっこいいと音もかっこいいかなと（笑）。なので、まず見た目で選びました。最近は“エレクトロン（ELEKTRON）のアナログキー（Analog KEYS）”を買って弾いてますね」
──シンセの中でもアナログ・シンセがお好きなのですか？
なか 「そうですね。ツマミで簡単にいじることができたり、ノイズ感を出せるところが好きなんです。当時ボーズ・オブ・カナダ（Boards of Canada）やエイフェックス・ツイン（Aphex Twin）を聴いていたこともあって、彼らの音色・音像にいかに近づけられるのか？ という視点で選んでいました。それに常盤さんと一緒にやることになったのも、常盤さんがゆーみんでシンセを使っていて、カッコイイと思ったからなんですよ」
──常盤さんが使っていたのは？
常盤 「ヤマハのCS-15ですね」
