──音楽性についても少しお伺いしますが、何故ラップを?
なか 「曲を作り始めたのが5年くらい前で、賢一君がもともとラップのユニットをやっていたんですよ。私たちにはそういう素養はあまりなくて(笑)。でも賢一くんはこれからは文科系の女性もラップをやるといいよ、ということで。今はたくさんいますが、前は女の子だと見た目がヒップホップ系の人しかラップをやっていなかったので」
──確かに最近は水曜日のカンパネラや高校生ラッパーのDAOKOさんあたりが有名ですよね。
なか 「そうですよね。私たちの場合はラッパーではないし、あくまでポップスの中の一つの要素として、ラップを取り込んでいるという感じです。だからラップもやるし、普通の曲もやるといったスタンスなんです」
──詞についてはいかがですか?
なか 「ラップの歌詞は基本的に賢一君が書いているんです。詞については賢一君が持ってきたり、エッセンス的なところを話し合ったりして作っていきました。自分たちの物語というよりはフィクションの世界ですね」
──例えば3曲目の「Beef or Chicken」の歌詞を読んでみると、タイトル通りビーフとチキンの話なんですが、僕はこれを擬人化されたラブソングだと受け取ったんですよね。
なか 「あ、まさにそうです。ラブソングというか女同士の戦いなんですよね」
常盤 「賢一君がうまく女性視点で表現してくれたんですよね。なかなかできないと思います」
──曲のテーマ性についてはどのようにお考えなのでしょうか? 例えば「げたまねー」、お金が欲しいと叫ぶ歌がありますが。
なか 「トラックができてからそれに合わせて決めたりもするので、色々ですね。[げたまねー]も賢一君とお金ほしいね、と話していて、そのあと賢一君が作ってきたような記憶が…。“働きたくない願望”がすごくあるんですよ(笑)。セレブになりたいとか莫大なお金が欲しいとかではなくて、働かなくていいのなら働かないよねーといった軽い感覚なんですけどね。そういったことが歌詞にも反映されているのかも(笑)」
──偏見かもしれませんが、沖縄出身の方で緩い方って結構いらっしゃいますよね。数年前に仕事でよく沖縄に行っていたのですが、同じようなことを話される現地の方がたくさんいたんですよ(笑)。朝まで飲んでるわ、時間通り来ないわ、本当に自由で緩かったんです。東京で働いている感覚とは全く違ったんですよ。その代りすごく人懐っこくて、初対面でも気さくに話してくれる懐の広い人が多かったんです。
なか 「あー、確かにそうです。飲むの好きな人多いし、うちなータイムといって、時間軸がちょっと違ってゆっくりですね(笑)」
──アルバムタイトルは『BANANA』ということで…フルーツ推しになっていますよね(笑)。
なか 「フルーツ推しです(笑)。たまたま[芭蕉実-ばなな-]という曲ができたからというのもありますが。最初、アルバムに入れる予定もなかったんですけど、アルバムができたときにジャケットの話になって、その際[芭蕉実-ばなな-]という曲があるからバナナでドレスを作っちゃおうという話になったんです。実際にたまこちゃんがバナナを使ったドレスを作ったんですよ」
常盤 「以前ライヴ会場限定で販売したシングル・ジャケットの写真、これ全部バナナの皮で作ったドレスなんです」
なか 「なので特に意味はないんですけど(笑)、衣装作ったし、曲もあるし、ゴロもよかったから、決めたんですよね」
──本作品の音源、実は3年前にはできていたと伺ったのですが、リリースまで間が空いたのは何故ですか?
なか 「もともと出そうと思っていたレーベルが無くなってしまったり、自分たちものんびりしていたり、という感じなんですが、たまたま知り合ったBayon Productionの北澤さんがやりたいと言ってくれて、お願いすることになりました。CDジャケットは北澤さんのご紹介で漫画家のつるけんたろうさんにお願いできて、ぱいなっぷるくらぶのイメージを、ネオンなどキーワードをたくさん出して、すごく素敵なイラストを起こしてもらいました」
──ジャケットがとてもわかりやすいと感じました。ストレートですよね(笑)
なか 「そうなんです、このジャケットが私たちの“アイコン”になっている気がしますね」
──今後の活動について何かお考えはありますか?
なか 「今回のアルバムでは、ラップの要素を取り入れたんですけど、次回はもう少し歌モノになるかなと思っています」
常盤 「今回賢一君が主にトラックを作ってくれたこともあってラップが多めだったんですけど、次回はもっとポップス寄りにしたいなとは思いますね」
──お二人が考えるポップなものって何でしょうか?
なか 「私の中では、プリンス(Prince)の[ラズベリー・ベレー]ですね。 “何気ない日常のモチーフがファンタジックな世界観になるのがポップスの魅力だと思います」
常盤 「ビーチボーイズとクラフトワークが私の中でのポップの王様ですね。美しい旋律と、ロマンとエンターテインメントが詰まっていると思います」
──繰り返しになりますけど、バンドをやっていた皆さんにとってはこのユニットは新たなチャレンジだったわけですが、大変なことなどはありませんでしたか?
常盤 「大変なことはなかったね。楽器がないからリハも楽だしね(笑)」
なか 「とにかく楽しいですね。レコーディングも何もかも。唯一あるのはライヴでどう見せるか? ってことで。バンドだと演奏してるから何となく何もしなくても弾いていれば様になるけど、ぱいなっぷるくらぶの場合カラオケなので、ステージでお客さんにどう見せるか? を考えなければならないのはありますね」
──最後にぱいなっぷるくらぶを初めて知る方にメッセージをお願いします。
なか 「ヴォーカルの声の重なりや、清涼感あるダンサンブルな楽曲が楽しめ、かつ色々なお話の曲がある色彩豊かなアルバムだと思います。ファンタジックな世界観とシンセポップチューンをぜひ楽しんでいただきたいです」
常盤 「まきちゃんの世界観と賢一君の作家性があいまった、ポップなアルバムになっているので、ぜひ聴いてください」
──ありがとうございました。
日時:2015年10月12日(月・祝)open 17:30/start 18:00
会場:東京・下北沢THREE
出演:ぱいなっぷるくらぶ/SUBMARINE/963(くるみ)etc.
料金:前売 2,000円/当日 2,500円(共に+1drink)
予約:メール予約 infopineappleclub@gmail.com までお名前と人数をお知らせください。
詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。
2012年活動開始。常盤ゆう(you&me together / risette)と、なかまきこ(ex トルネード竜巻)の女性二人が、ラップに歌にダンスに狂い咲くレディース・ポップ・ユニット。2人のヴォイスとシンセ・チューンが、時にはダンサンブルに、時にはしっとりと、POPでFUNでILLなミュージックを奏でる。なんくるないさーをモットーに、ごゆるりと活動中。
掲載日:2015年10月11日