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スカート 澤部渡 Call 発売記念インタヴュー

なんか、きっかけが欲しかったんですよ

──カクバリズムからリリースすることになったきっかけは何だったんですか?

 

澤部 「2014年の11月にワンマンライヴをやったんですよ」

 

──渋谷のWWWで行われたイベントですよね? 僕も観に行きました。

 

澤部 「その年の8月に会場を予約したんですけど、不安になってカクバリズムの社長、角張さんのところに相談にいったんです。インデイーズの大先輩として、それまでも何度か人生相談に乗ってもらっていたこともあって・・・そうしたら角張さんから“ワンマンやるんだったらいい機会だし音源作るのもいいんじゃないかな。12インチを作ってうちから出してみたら?”と提案があったんです。それで生まれたのが『シリウス』だったんですよ。それでワンマン終わってから“社長、次どうしたらいいんでしょうね?”と相談していくうちに、“だったら一緒にやってみようか!”と言ってもらえて一緒にやることになったんですよ。友達以上恋人未満のような関係がしばらく続いてましたね(笑)」

 

──つまり一人でやることにも限界を感じていたってことなんですよね?

 

澤部 「そうなんです。前作の『サイダーの庭』を出したときに、これ以上はやれないなって思ったんですよ」

 

──確か前回の取材でも話されていましたよね。

 

澤部 「その・・・身も心も持たなくなりそうだったところもあるんです。一人でやっていれば売れた時の見返りは大きいけれど、それだけじゃやっぱりキツイし、なんかきっかけが欲しかったというか・・・少し疲れてしまっていたのは事実ですね」

 

──カクバリズムに入ることで、これまではほぼゼロだった宣伝・プロモーションで広がりが出てくるとは思いますね。新しいリスナーにアプローチしてもらえるだろうし。

 

澤部 「今のスカートのファンは年齢層が幅広いんですが、いわゆる音楽ファン的な方々がとても多いんです。アンテナしっかり磨いてる方々というか、リスナーとして経験豊富というか。 だから今回プロモーションが入ることによって、若いリスナーにも届くといいなとは思いますね」

 

──一人でやっていたときと比べると、カクバリズムでは思いっきりやれたと言っていましたが、もう少し詳しく教えてもらえませんか?

 

澤部 「一番わかりやすいのは弦楽器が入ったことですね。今までだったら予算の都合で絶対にできなかった。ちなみにアレンジはサポートもしてもらっている佐藤優介に頼みました」

 

──他にもありますか?

 

澤部 「スタジオ、録音環境が全く違ったんですよね。今までの中ではダントツにいいところだったんです。それまではオルグスタジオ、『サイダーの庭』では老舗のゴックサウンドなどで録音したんですが、今回はあちこちのスタジオでレコーディングをさせてもらえたんです」

 

──数多くのレコーディングスタジオのチョイスはどうしたんですか?

 

澤部 「角張さんにコーディネイトしてもらったんです。ベーシックを録るときはピアノもエレピもあった方がいい、とかリクエストだして」

 

──スタジオが変わったことで、何が大きく違いました?

 

澤部 「いいスタジオを使ったことで、音の響きはもちろん、今まで以上に豊かになったといいますか。もちろんエンジニア葛西さんの手腕によるところが大きいのですが」

 

──ゲストミュージシャンも多かったと聞きましたが?

 

澤部 「いつものサポートメンバーに加えて前作には居なかったシマダボーイの参加も新しいですね。あとトリプルファイヤーの鳥居くんにギターソロを2曲弾いてもらったり、大学の先輩でもあるbabiさんにコーラスを1曲お願いしました。そして弦楽四重奏。ゴンドウトモヒコさんにも管を1曲入れてもらいました」

ようやく自分が何者かと言える肩書きができた

──これまでにない環境、そして多くのゲストミュージシャンに参加してもらって作ることができたのはわかりましたが、澤部君にとっては何が一番よかったんですか?

 

澤部 「一番はストレスが無くなったことですね。制作担当として角張さんがついてくれたことが大きかったんですよ。心に余裕ができたんです。今まではレコーディングのときは正直余裕がなかったんですよね。だからこそじっくりと録音に集中できました」

 

──角張社長自ら担当してくれたんですか?

 

澤部 「そうなんです。最初だし俺のレーベルだから俺が担当するよ、って言ってくれたんです。第3者の目があることはすごくいいんですよ。相談もできるし、それまでやってたときはかなり思いつめていたので」

 

──そのほかこれまでと変わったことはありますか?

 

澤部 「何度も言うようですけどプロモーションですかね。いままでだったら例えば雑誌に取材してもらうというも自分から動いても動ききれない部分であったので」

 

──スカートにとっては今回がはじめての大々的なプロモーションになるでしょうから、効果に期待したいですね。宣伝は何度もやると効きが悪くなるので(笑)。他にも何か変化はありましたか?

 

澤部 「うーん・・・ようやく自分が何者かと言える肩書きができたことですね」

 

──それはどういう意味ですか? 今もスカートという肩書があるじゃないですか?

 

澤部 「いや、そうなんですけどそれって名刺に社長と書けば誰でも社長になるのと同じようなものですからね。カクバリズムに所属することで、第三者に推薦されている安心感が聴き手に生まれるんじゃないかと思うんです。あとカクバリズムって今では滅多にないレーベル買いができるレーベルだと思うんですよ。レーベルのセンスに賛同している人がたくさんいるので、そこに投げかけられるのは本当に嬉しいですね。今までは何者でもない人間が裸一貫で“聴いてください”と言っていたわけです。それってマッチ売りの少女から誰もマッチを買わないっていう話じゃないですか。 そのマッチがもし英国王室御用達のマッチだったら誰かしら立ち止まってくれたのかもしれないな、と」

 

──レーベルのカラーとブランドの話だよね。そこは聴き手としてもわかります。昔に比べるとポップス界隈では少なくなっているかな。インディーズでカクバリズム以外だと、LUCKY TAPESやChocolat & Akitoが所属するRallyレーベルや下北沢にあるライヴハウス、モナレコードなどはイズムがあるよね。ジャンルは違うけど、残響レコードにも“らしさ”を感じます。

 

澤部 「ディスクユニオンがやっているマイベストレコードも、ジャンルやミュージシャンは多彩、雑多なんですけどイズムを感じますよ。根っこは同じ気がしますね。あのレーベルにはいいカタログがたくさんあるんですよ」

        

 

 

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