はじめまして、及川と申します。今回、歌手 常盤ゆうさんの『nyu:』で2曲プロデュースをしております。また、ポプシクリップ。マガジン10号でのコンピレーションアルバムにも参加させて頂きました。ミオベルレコード様には改めて感謝申し上げます。
今回のプロジェクトは、僕が常盤さんに(勝手に)曲を作った事で始まりました。おふざけと本気の狭間の様で、実はビジョンは明確でした。「まだ知らない常盤さんの唄を聴きたい」。そこに自分のルーツである60年代サウンドを掛け合わせる事に挑戦しました。
また、僕のルーツや楽曲を咀嚼し、ブラッシュアップして頂いたのは敬愛するL⇔Rの黒沢秀樹さんです。散漫だった曲が、黒沢さんの力でポップミュージックへ昇華されました。二人でギターを持って色々アイデアを出し合った時間を思い出すと、未だに夢の様です。
常盤さんの歌声は、美しくエアリーで空気が振動する。言葉にすると穏やかですが、実はとんでもない声量とパワーがあります。また同時に、類を見ない発音とリズムを併せ持ったボーカリスト。この企画を成立出来た訳が今ではよくわかります。
常盤さんの声を多彩な角度から堪能できる『nyu:』、皆様にも楽しんで頂けますと幸いです。最後に、各曲を少し紹介いたします。
・Season of my love -シーズン・オブ・マイ・ラヴ-
企画のきっかけになった曲です。初めのイメージは初期ダスティ・スプリングフィールドの様に「かっこいい声の歌姫がかわいい曲を唄う」。純粋なガールズ・ポップというよりは、ブルー・アイド・ソウルの匂いが見えるポップス、みたいなテーマがありました。また個人的には自己紹介になるわかり易さも意識してメロディーを作りました。ちなみに黒沢さんはスパンキー&アワー・ギャングも浮かぶと仰っていました。コンピ収録版のベースはジャズベースを指で弾いていますが、『nyu:』では Hofner をピックで弾いています。コーラスは6声、常盤さんと一緒にラインを探して作りました。
・Stranger -夜を駆けるストレンジャー-
昔やっていたバンドの曲をリメイクしたものです。ザ・ヤング・ラスカルズの曲をジェファーソン・エアプレインが演奏したら?と想像して作ったのを覚えています。ドラムセットは70年代の Rogers をチョイス(Ludwigの予定でしたが、音がまとまり過ぎていたので変更)。リボンマイク一本で録音する事に成功しました。ベース、ブラス、コーラスの頭拍がそれぞれ違うので、そのリズムも楽しんで頂きたいです。最も難しいと思っていたAメロのメロディーを、常盤さんは1テイクで決めてくれました。