2009.5.14.Thu. 『Beat Happening!VOL.160』 下北沢 BASEMENT BAR

Swinging Popsicle ライブ

3ヶ月ぶりのポプシ(Swinging Popsicle)のライブ。今日という日を楽しみにしていたファンも多かったんじゃないだろうか。出番の21時を回った頃のBasementbarは穏やかな熱気に包まれている。あたりを見回すといつも必ず見かけるポプシファンの女性2人組は中央少し左側、つまりいつもの彼女達の定位置にて楽しそうに談笑している。ふと横を見るとこれまたいつも参加されている昔からのファンの方がドアをあけて入ってきた。彼女もあたりを見ながら真ん中後ろの方に体をもぐりこませてスタンバイできたようだ。その他スーツを来た会社員やTシャツを着た学生らしきカップルなど10代から40代位までの約40人が好きな位置でステージが始まるのを待っていた。しばらくすると薄暗いステージ上でポプシのメンバーが準備をはじめる。シマッチはいつもの水色のギターでヒラタさんはあまり見慣れない茶色のベースを準備していた。確かブログで書いていたやつじゃなかったかなあ?なんて思いながら中央に目をやるとミネコフがキーボードを設置している。いつも使っているやつシルバーのやつよりひとまわり大きいKORGのシンセ(M1かな?)、そして側には白いタンバリン。いつものオレンジのタンバリンではないようだ。もし前のやつとの違いは何かあるのかなあと考えていると、ふと視線をずらしたら目があったような気がしたので会釈すると向こうも気づいたらしくファンにむかって目くばせをしていた。

セッティングも終わり客席側のライトが落ちていく。呼応するかのようにどこかで聞いたことのあるメロディーが流れ出す。ディズニーの美女と野獣の主題歌「Beauty and the Beast」だ。なぜポプシでディズニーのSEを?・・・ふと何年か前にミネコフがディズニーのサントラに参加していたことを思い出す。なんか関係あるんだろうか?でも参加していたのは美女と野獣じゃなかったし多分気のせいだろう・・・・と。そうこうするうちにステージが明るくなり見覚えのある面々が顔を見せるヒラタさんにミネコフそしてシマッチにサポートドラマーのけっちゃん、ライブのはじまりだ!!

シマッチのギターから久しぶりにかき出された音は”赤い光”。イントロが終わると同時にベースとドラムそしてキーボードが入って、いつもと変わらないポプシサウンドが紡ぎあげられていた。あたりを見まわすとみんなどこか嬉しそうだ。待っていたんだなあというのがひしひしと伝わってきた。サビになるとついつい口ずさんでしまう自分ももちろんその一人なのだが。緊張していたのかミネコフはこの曲を淡々とクールに歌っていた印象だ。


1曲目が終わり・・・拍手が途絶えるまもなくけっちゃんのスネアが会場全体に響き渡る。
一瞬とまどったが直感で次の曲がわかった。この曲も久々だろう、大好きな”my superstar”だ。ワンコーラスのドラムソロによるイントロの後のベースとギターサウンドでそれが間違いなかったことを確認すると、自然と体が動き出す。曲の導入部のドラムソロはライブならではのアレンジ。よくあるパターンといえばそれまでだがライブでしか味わえない曲の展開はやっぱり嬉しく聞いていて楽しい。ミディアムテンポのロックナンバーであるこの曲。ようやく緊張もとれたのかミネコフの声に本来の伸びが戻ってきたようで、サビを歌っているときは笑顔が見え隠れするようになってきた。

2曲目が終わりここでミネコフから「こんばんは。Swinging Popsicleです。」と一言。続けてすぐに定番の”I Love Your Smile”がはじまり会場の沸点は上昇、俄然メンバー達も勢いづいてくる。普段は控えめな観客も時折ミネコフがタンバリンを叩くとそれに合わせてハンドクラップを入れるようになる。この曲で手拍子はお約束だが体を動かすファンを見てメンバーも嬉しそうだ。それまで少し固めだったヒラタさんも体を動かしはじめたようだったしミネコフも顔がほころんできたように思う。ただシマッチはこの曲でもまだクールなプレイに徹していた。

改めてミネコフより紹介がありここでMCとなる。いつもならメンバーの近況を話すことが多いんだけどヒラタさんからのライブ告知のみだった。想定外だったのは・・・・5つもあったことだ。

6/20と6/27は既出のとおりだが7/7のシマッチバースデーの七夕ライブ、7/15に高円寺でもやることを発表。ミネコフが「そんなにたくさん4つも覚えられないよね」とつっこむと、ヒラタさんは「そして絶対覚えていただきたいんですが、9/12に僕の40歳記念ワンマンを440でやります。更に企画もののアルバムを発売予定でこのワンマンがレコ発ライブになる予定です」と5つ目を発表し会場は沸きあがる。「絶対覚えられないよ~」とミネコフがさらにつっこむとヒラタさんは「ホームページ見てください」となんなくかわす。その前に実はヒラタさんは7/7をとばして7/15の話を先にしたもんだからそこでも「あれ1個忘れてない?」とミネコフがつっこんで言い直したりもしてたんだけど。更にヒラタさんの話は続き「ミネコフの誕生日前夜あたりにも何かやろうと考えてます」といったオマケ話もあって覚えるの大変だった。事実ライブ終了後に手帳取り出してメモしてる人が多数いたのはいうまでもない(^^;ヒラタさんからシマッチは特に告知とかないの?とふられるも、「来月のライブ来て下さい」と一言。ここで事務連絡MC(笑)は終わった。

「じゃあ次は懐かしい曲、wander in their dreams」とミネコフが話す。正面のキーボードから12年前に産み出された軽快なメロディが流れ出す。初期のポプシの名曲でギターポップ好きにはたまらない。実はライブでも滅多に聞くことができなくて、最近では2008年末のCCOで行われたクリスマスライブが最後、その前となると2007年夏のワンマンまで遡る。1年に1回やるかどうかってペースの曲なのだ。この曲でポプシにはまったファンも多く、たまらないセレクトといえる。
この頃にはメンバーもかなりテンションがあがっており、すっかり楽しそうな顔つきになっていた。曲が終わると同時にそのまま勢いにのってsomething newに突入。アッパーなこの曲が会場のテンションもあげていく。ふとまわりを見ると体を動かしている人がちらほら、恥ずかしいからか少しだけなんだけど曲にのっているのがよく伝わってきた。そして曲が終わり「次が最後です。今日はありがとうございました」とrainboundsにつながっていく。

更にアップテンポで激しいこの曲は最近のライブではおなじみ。なんといってもポイントはヒラタさんのベース。曲名の通りはねるようにリズミカルにプレイするのは大変だと思うが、体を波打たせるかのごとくなんなくこなしてしまうのは流石だと思う。最後の曲ということもあってか、メンバー全員がステージ上で楽しそうに体を動かしながら歌う様は本当に微笑ましかったし、ステージの余波が会場全体を覆うかのように伝播していくことで会場が一体となっていくのを感じるながら走り抜けることができた。特にミネコさんは腰を悪くしていたのにも関わらず動きまくっているもんだからスタッフの人たちはハラハラしてたに違いない。最後はシマッチのギターでかっこよくしまって曲は終了した。

拍手からアンコールの手拍子へ切り替わったのは思ったより早かったと思う。舞台袖にひっこんだメンバーも拍手の期待に応えてすぐに登場。「ちょっと早すぎたかな」と話しながら会場の笑を誘っていた。ここでシマッチが「ミネコさんあの話はしなくていいんですか?しづらかったら・・・」というと「実は椎間板ヘルニアになっちゃって、生まれたての子鹿のようになって・・・トイレに行くにも1時間かかったり・・・」とミネコさん。かなり大変だったらしい。「今日藤島は大事をとってギターを弾いていないんです。ギターが弾けるようになったら全快したと思ってください」とヒラタさん。「でも次のライブはアコギライブなんだけどね」と笑いながらミネコさん。「まあ座ってやるからね」とまったりとしたトークが続く。

相変わらず謙虚なメンバーはアンコール曲を用意していないらしく(笑)、いつものごとく「じゃあ定番の曲で・・・」とafterglowを聞かせてくれた。この曲は本当に完成度が高くて、この日もafterglowが最高の演奏だったんじゃないだろうか?と思うほど。小刻みに心地よく響くベースにシンプルなギター。そしてどこまでも伸びていミネコさんの声に会場全体が気持ちよく聞き入っていた。盛大な拍手の中「今日は本当にありがとうございました。またライブ来て下さい」とメンバーはステージをあとにしました。

・・・・余韻が会場にうずくまっている中で人々が動き出します。あたりを見回し歩き出そうとした瞬間、とあるギターのイントロが私はじめ周囲のファンの動きをとめさせました。その間約4分程度・・「Perfect Loop」のフルコーラス・・・・最高のプレゼントでした。
後でメンバーに聞いたらミネコさんがギターを弾けない状態になってしまいライブでできなかったことから、新曲を楽しみにしていたファンのためにエンディングのBGMとして流すことにしてくれたんだそうです。

最後にメンバーの服装ですが、ミネコさんは緑のワンピースに黒のパンツ、ヒラタさんがグレイのパーカーにGO ONのポプシTシャツ・カーキのジーパン、そしてシマッチは紺の半袖シャツにジーパンとみんなカジュアルな格好でした。途中暑くなってヒラタさんはMCの最中にパーカーをステージ上で脱いでいたことをつけ加えておきます。心づかいを感じたいいライブでした。次も楽しみです♪


setlist

 1.赤い光

 2.my superstar

  3.I Love Your Smile

  4.wander in their dreams

  5.something new

  6.rainbounds


encore

  7.afterglow

 

 

約4,200字

written by ぱすてるバッジ