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高橋徹也 REST OF THE WORLD 発売記念インタヴュー

僕の場合ビジュアルが見えてないと作れないんです

──アルバムコンセプトはありますか?


高橋 「セカンド、サードアルバムでダークな部分も描いたので、もうそういうのはいいんじゃないかな、というのが出発点ですね。[ユニバース~風を追い越して~]という曲があるんですけど、それがアルバムの主要なテーマだったんです」


──10分を超える曲ですよね。


高橋 「主要な部分は7分くらいで、あとはエンディングで色々やっているだけなんですけどね」


──前回のアルバムでも「大統領夫人と棺」というストーリーテリングなタイトルトラック曲がありましたが、この考え方が高橋さんのアルバムの特徴なんですね。


高橋 「そうですね、タイトルトラックの曲が主となるものだとすると、他の歌がそのコンセプトを肉付けしていくような、他の曲が脇役と言ったら変ですけど、そういった考えがあるかもしれないですね」


──事前にいただいた楽曲解説の中で[ユニバース]のような曲を作りたかった、と書かれていたのですが、詳しく教えてください。10分の曲を作るというのは、作り方も含めて気になるのですが?


高橋 「曲全般に言えることですけど、あんまりAメロ、Bメロ、サビといったものを意識していないんですよ。全部流れというか・・・もしかしたら「場面」を作ると言ったほうがいいかもしれません。ここはこういう場面といったもの、それが人によってはAメロになるのかもしれませんけど。自分の感覚の中では、『寂しげに始まる場面』、『中盤、ちょっと賑やかになってくる場面』、『最後広がっていく場面』、そういう気持ちで作るんですね」


──それは頭の中でイメージができあがっているということですか?


高橋 「まあなんというかそこに登場する人とか、景色とか、時間帯などはすごくはっきりしていて、でも特別なことではないと思います。普通に本来感じるものなんじゃないかなと」


──高橋さんのように、明確なイメージが先にあってそれを曲に落とし込むといった作り方をしている方というのは、今の時代少ない気がしますね。色々な方にインタヴューしていている中で多いのは、ギターを弾いていて、ふといいコード進行、メロディができたからそれに合わせて、あてはまる言葉を探す、このコード進行かっこいいからそれを使って作るなど、曲からイメージを膨らますという方が多いんですよね。高橋さんのように心象風景が見えていて、そこから曲に落とし込むという方は、わりと少ない気がします。


高橋 「僕の場合はビジュアルが見えていないとそもそも作れないんですよ。よく詞が先か、曲が先かという話があると思うんですけど、僕の場合そのような感覚がないんです。イメージ、景色が先なんですよね」

僕はわりとクラシカル、オールドスクールなタイプなんだと思います

──この「ユニバース」ではどのような景色が見えていたんですか?


高橋 「歌詞の中に一節があるんですけど、<<歩き出す さあ顔を上げて 君はまだ何も成し遂げてない>>、ここがすごく主要なテーマですね、と話しながら今わかりました」


──何が、ですか?


高橋 「この歌は『再生』がテーマなのかなと。セカンド、サードアルバムのときには限界まで自分の中でせめぎ合いがあって・・・そこからまた本当に自分自身が歩み始める、それが大きいテーマなのかもしれないですね。大人になる、踏み出すということなのかもしれません」


──セカンド、サードのときのせめぎ合いというのは?


高橋 「当時から仲良かったベースの鹿島さんらに話を聞くと、当時僕は相当殺伐としていたみたいなんです。最近になってから僕と出会った人は、殺伐といった印象より も、思っていたよりも話しやすいというか普通な人、という印象が強いのではないかと。でも当時は、例えばスタジオには誰も入れなかったりとか・・・レーベ ルの宣伝の人やマネージャーさんさえも入れなかったんです。『俺は命かけてやってるんだ!』という意識があって、時折周囲の人たちが何故今そこにいるのか がわからなくなったりしていて・・・今から思うとすごく独りよがりで一方的な物言いだったと思うのですが、それくらいテンションも高くて殺気立っていたみたいで・・・」


──でもそれは・・・当時契約の中におけるスケジュールなどへのプレッシャーが、別のかたちで出たのではないかと思うのですが?


高橋 「うーん、というよりも今から思うと・・・単純に子供だったんだと思いますね。25歳、26歳のころで俺はこんなに一生懸命やっているのに、何故もっと広がらないんだろう?、ということに対する葛藤もあったし・・・。僕はわりとクラシカル、オール ドスクールなタイプなんだと思います。反対に現在の若い人たちって、もっと冷静というか自分の置かれた状況を正確に把握していると思うんですよ。自分の立ち位置や隙間をわかった上でどう狙っていこうかとか、そういうのを感じることがあります。演奏も上手な人が多いし、器用なのかなと。最近ある方のライヴで 久々にお客さんに対して失礼なことを言っている人を見たんです。僕が10代の頃って、バンドマンとはみんなそういうもので『お前ら聞きたくないなら帰れよ!』、というのがカッコイイという風潮があったんですね。でも今はそれとは違って、一緒に盛り上がってナンボみたいな」


──確かに周囲の若いバンドを見るとお客さんに対しては、良かったら聴いてください、というスタンス、いい意味でも悪い意味でも下手に出ているバンドが多いですね。というかバンド側の目線がリスナーに近づいたといった方がいいかもしれません。


高橋 「今は危なっかしい人が少なくなった気がしますね。でも当時僕はそんな感じだったんですよね」

          

 

 

 

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