selected by 黒沢健一(L⇔R/MOTORWORKS/curve509)
──オススメの名盤を3枚教えてください。
音楽に限らず、これから何かをしようとする人、
何かに一歩踏みこもうとしている人たちへ向けて、
あくまで極私的な視点で選んだ、おすすめの3枚を記したいと思います。
1枚目
2004/10/06 release |
スマイル ブライアン・ウィルソン
1966年にビーチボーイズのアルバムとして制作が開始されたものの、様々な事情で発売中止となり、37年の歳月を経てブライアン・ウィルソンのソロアルバムとしてリリースされた一枚。
僕は1980年代にこのアルバムの原型となるビーチボーイズによる海賊版を聴いた。一発で夢中になった。 |
|
ブライアン・ウィルソンが今まで聴いてきた音楽を頭の中でぐちゃぐちゃに混ぜて、それを頭の中で再構築して新しい世界を作って僕らに見せてくれようとしているんだな、というのが言葉じゃなくて音から確実に伝わって来た!
コンピューターはおろかハードディスクレコーディングも無い時代に、自分の想像力と創造力だけを頼りにこんな音を現実に生み出せるなんて、人間って凄いと思った。
2004年にイギリスでこのアルバムの発売前にアルバムを全曲演奏するというライブが行われた。
いったいどんな音楽が奏でられるのか、どうしても体験したくて現地まで行った。ブライアンが37年間あたためていた音楽が会場に溢れ出すのを、この目でしっかり見た。
このアルバムは、音楽という夢が時間を越えて形になる瞬間を捉えた僕にとっての永遠のサウンド・トラックだ。 |
2枚目
1998/10/20 release |
I Hear A New World ジョー・ミーク
プロデューサーとしての実績より、変人、奇人エピソードが多いことで知られるイギリス人、ジョー・ミークが作ったエキセントリックでユーモラスな作品集。 何でも、音楽プロデューサーになる前にNASAの関連施設で宇宙からの電波を傍受する仕事をしていたらしい。 「I Hear A New World 」というタイトル通り、きっと彼は、何か新しい世界の音、あるいはその存在を確信していたのだろう。それが彼の頭の中だけの世界だったとしても。 |
|
手垢にまみれた言葉に聞こえる「夢」とか「純粋さ」の本来の意味を少なからず感じさせてくれる一枚。 |
3枚目
1996/10/21 release
※オリジナル版は1965年発表 |
追憶のハィウエイ61 ボブ・ディラン
ディランの事をたまに考える時、思い出すのは彼という音楽家が僕にとって優しかった事は一度も無いということだ。
興味をもって知ろうとすればするほど、彼の音楽は僕の中にある「一方的な彼への決め付け」から すり抜けていってしまうのだ。それでも僕は彼の音楽を聴かずにいられない。
「言葉にしても仕方が無い」事を彼は歌い「最良の方法は風に舞っている」と僕からの質問をはぐらかす。 |
|
「意味の無い事など一つも無い」という概念と「意味のある事など一つも無い」という相反した概念の真ん中で鳴っているこの「ただ録音しただけ」の様なアルバムを聴くたびに、何とも言えない清々しい気分になるのはどうしてだろう。 |
──名盤との出合いで印象的なエピソードなどがあれば。
エピソードではないけれど、僕の印象として
名盤といわれているものの多くは、その意味を理解するのに時間がかかるものが多い。
そしてそれを作った当事者もあまり多くは語らない。
──リスナーに向けて一言お願いします。
時代ごとに巷で名盤といわれるものはコロコロ変わるので
自分の耳と感性を駆使して、良い音楽を探し当ててください。
──ありがとうございました。
<作品情報>
V.S.G.P /黒沢健一 2010年12月15日発売 2枚組み
ディスク1 STUDIO 01. What is this song? 02. Package 03. 方舟 04. Keep the circle turning 05. Walking on a rainbow 06. Love is real? 07. Northern town
ディスク2 LIVE 01. Equinox 02. 7voice 03. Remember 04. What is this song? 05. September rain 06. Package 07. Keep the circle turning 08. Wondering 09. Love is real? 10. Hello it’s me 11. Grow 12. Northtown christmas
2009年秋に行われたシアターライブより、ストリングスセッション音源を12曲抜粋した1枚と、そのライブ音源をベーシックに新たにスタジオにてダビングを重ねた実験的な音づくりに挑んだ全く新しい1枚。
|
Focus/黒沢健一 2009年3月4日発売 01. Grow 02. Feel it 03. Love Hurts 04. Scene39 05. Maybe 06. Silencio 07. POP SONG (al ver.) 08. Mute 09. Do we do 10. Somewhere I can go 11. September Rain 07年冬、5年ぶりにソロ活動を再開した黒沢健一の 7年ぶり4枚目のオリジナルアルバム。
|
(クロサワ ケンイチ)
19歳で南野陽子、島田奈美などへ楽曲提供やCM曲提供など、作家としてデビュー。
1991年、弟 秀樹、木下裕晴と共にL⇔Rを結成。1997年L⇔R活動休止以降ソロ活動開始。
様々なバンド&ユニットへ参加。森高千里・湯川潮音などへの楽曲提供、徳山秀典・杏子・NON’SHEEPなどのプロデュースと、活動は多岐にわたる。
2011年6月5日
人前ではちょっと・・・と思う方は下のフォームからもどうぞ。直接編集部に届きます。
※ご送付いただいたメッセージは個人情報等を削除した上で、紹介させていただく場合があります。