──最近カーネーションのトリビュートに参加したり、ぱいぱいでか美さんに楽曲提供するなど、活動の幅が広がっていますよね。
澤部 「ありがたいことに、最近オファーが来るようになったんですよ。確か(((さらうんど)))っていうバンドに曲を書いたのが、初めてだったかな。あと声優ユニット、ワンリルキスに「realize!!」という曲を提供したり...最近もちょくちょくお話はいただいていますね」
──人に曲を書くのはどうですか? 自分のために書くのとは大分違うと思いますが?
澤部 「僕は楽しくやってますね。それと人にあげるつもりで曲を書くと、いい曲ができるというジンクスがあるんですよ(笑)。「ストーリー」もそうだし「返信」もそうでしたし、さっき言った「サイダーの庭」もそうだし。「返信」も最初はトーベヤンソン・ニューヨークに持っていったんですけど、そうしたらコードが難しすぎるということでボツになって、でもすごくいい曲だから自分でやることにしたんです」
──「ストーリー」も「返信」も? どちらもいい曲で僕大好きなんですよ。
澤部 「そうなんですよ。だから「返信」はスカートにしては4分を超える長めの曲なんですよね」
──前作『ひみつ』も売れているみたいだし、今度の新作も売れるといいですね。具体的なリスナーのイメージなどはありますか?
澤部 「もっと若い人にも聴いてもらいたいと思っているんですよ。なんか若い人があんまり聴いてくれていないイメージがあって。スカートはいわゆる音楽ファンに聞かれている印象があるんです。僕もそこに甘えていた部分もあったと思うので同年代や下の人にも広がったらいいなと、そうしたらもっと未来が広がるかなと(笑)。でもスカートやっててすごく嬉しいのは、媚びてるわけじゃないのに大人の方が声をかけてくれることなんです。そこは本当にありがたいことだなと思っていて」
──確かに!僕もそうですからね(笑)。でもそれは澤部さんが今まで聴いてきた音楽の影響が大きいと思いますよ。前回のインタヴューでも話したけど60年代、70年代の洋楽はじめ、はっぴいえんどなどをいい音楽をたくさん聴いているじゃないですか? 多分その影響が音に出ているのだと思いますね。
──話は変わりますが前から気になっていたことがあって。澤部さんはコミティアにずっと参加されているじゃないですか? コミティアって自主制作の漫画の即売会だし、いわゆるそこでの販売は同人音楽のフィールドにあたるものとも思うんだけど、それって普通のバンド、音楽カルチャーにいる人はまず参加しないと思うんですよ。
澤部 「コミティアに参加しているのは、単純に漫画が好きだからですね。あと自分は絵が描けないので、なんとか漫画に音楽を取り込めないかなと思っていて。でもそういう活動もしているからいつまでも”売れてる感”がないのかもしれませんけどね(笑)」
──毎回欠かさず参加しているようですが?
澤部 「そうなんです。コミティアは年に4回イベントがあって、イベント向けに毎回新曲のデモなどをCD-Rで販売しています。結構買ってくれる人がいて嬉しいんですよ」
──本当にまめに地道に活動していますよね。もし漫画やアニメの主題歌をやってくれと言われたらどうしますか?
澤部 「どうですかね、やってみたいけどアニメはあまり見ないので…オファーが来てみないとなんとも(笑)。でも漫画家の方でスカートのファンって結構多いんですよ。それは漫画という別のカルチャー、フィールドだからというのもあると思うんです。スカートの音楽ってすごく新しいものがあるわけではないので、音楽をやっている人からしたら褒めづらいと思うんですよ。(音楽業界の人からすると)何か革新的なことをやっていないと褒めにくいと思うんですね。でも漫画を書いている人たちから見たら音楽は門外漢じゃないですか? だから単純に音が良ければ褒めてくれるのではないかなーと思ったりはしています」
──ちなみに自分の中で売れている感じはありますか?
澤部 「音楽だけで生活できているので、それなりにできているとは思いますね。でも周囲のバンドが最近フェスに出たりしているのを見ると少し焦ったり辛い気持ちにもなったりしますよね(笑)。シャムキャッツやcero、森は生きているも頑張ってますし」
──最近音楽シーンで見るとスカート始め、先に挙がったバンドや吉田ヨウヘイグループなど若い世代が頑張っている印象があるんだけど、意識しているライバルはいますか?
澤部 「うーん、音楽的なライバルは多分いないと思いますね。どのバンドもそれぞれカッコイイし。でもなんか本質が近い気がするのが住所不定無職なんですよ。この間僕も参加した『GOLD FUTURE BASIC,』というアルバムがあってそれがすごく良かったんです。その中に「ジュリア!ジュリア!ジュリア!」という曲があって、あれを作れるバンドはいないなって思って。音楽的な仲間意識はありますね(笑)。女装しているメンバーがいたりすることもあって以前は色モノっぽい部分で見ていたところがあったんですけど、そうではないんだ、というのを伝えたいです」