humming parlour 食べすす

今のままじゃ嫌だ!”と追い込まれた状況で書いた詞が多い

──収録曲を見ると英語詞が少し多めですね。


kawaie. 「英詞4曲、日本詞3曲とほぼ半々ですね。もともと英語で詞を書きたくて大学で英文科に入ったんです。英語は響きを楽しめるじゃないですか?日本語も好きですけど、メッセージ性が強すぎるときがあるんです。例えば「愛してる」と言われたら愛してるだし・・・。それがわからないように遊びたいという気持ちがあるので英詞が好きですね。私にとって歌詞は言葉遊び的な要素が強いので」

 

──では歌詞の内容も創作要素が強いのですか?


kawaie. 「いや、体験談ばかりです(笑)。ただリスナーは私の体験談なんて聞きたくないじゃないですか?聴き手が自分に置き換えたり、自分の自由な感じ方でいいじゃないですか?だから詞にするときは、その隙間みたいなものを絶対に作りたいんです。「リーチ」のように割と直接的なものもありますけど、その隙間を言葉でくぐるのが好きなんですよ。リスナーには何かを感じてもらわないと嫌なんです。何も感じない詞は書きたくないので。それを聴く人が悲しい曲と思うのか、楽しい曲と思うのかは自由であって欲しい、というスタンスですね」

kawaie.の手帳。創作のアイデアをこちらに書き溜めている。
kawaie.の手帳。創作のアイデアをこちらに書き溜めている。

──もう少し具体的な詞の内容について教えてもらってもいいですか?


kawaie. 「例えば5曲目の「triangle of the heaven」のような、“緑がざわめく場所へ出たんだ/その中で君の記憶を見送る/ただ、何も言えず/踊っていたんだ”は、その時置かれた自分の状況を書いていて、ラストの「door」の、“続いてゆくこの星の少しを/瞬く間に駆け抜ける私は/ためらい、持て余すほど疎くて”などは具体的な相手を想像して書いたり、色々ですね」

 

──どのような心境で書かれることが多いのでしょうか?


kawaie. 「もやもやしている時が多いですね。基本的に自分に何か余裕がなかったり、もやもやしていたりすることを吐き出していて、それが色々な言葉になっているんですよね。「Cherish」なんかは私にとってはやけ酒の歌ですから(笑)。現実逃避して高校時代の同級生とずっと飲んでいたいという気持ちで書きました(笑)」

 

──「リーチ」のように素直に心に問いかけるような歌もあります。


kawaie. 「ありがとうございます。ただ先の「Cherish」や「to be star」など、やけっぱちだったり、抜け出したいというイメージの曲が多いかも。普段かなり多忙を極めた生活を送っているので、その分のもやもやが一気に出ているのかもしれません(笑)。今のままじゃ嫌だ!と追い込まれた状況で書いた詞が多いので」

 

──じゃあ日常のもやもやが多ければ多いほど・・・。


kawaie. 「たくさん詞が書けます(笑)」 

“昔こういうインディー・ギターポップ・バンドあったよね?”と言われないようにはしたかった。

──楽曲はネオアコ、ギターポップの影響を多分に受けているように感じます。日本だと帯コメントを書いてもらったadvantage Lucyなどがその部類に入りますが?

 

kawaie. 「advantage Lucyっぽいね、と言われる事もありますが、それはギターの伊東さんとadvantage Lucyの石坂さんのルーツが近いからだと思います。伊東さんも石坂さんもザ・スミスが大好きなんですよ。二人とも洋楽が大好きでその影響を受けているから、生まれてくる曲も自然に似通っている部分があるんだと思います」

 

──なるほど、そんな偶然の一致があったんですね。kawaieさんは?


kawaie. 「私はあまり洋楽を通ってきていないんです。初めて買ったCDは光GENJIで、その後T-SQUAREやカシオペアなどのフュージョンを聴いたり、最近だとサカナクションやthe band apart、大橋トリオなどもよく聴きます。割と雑多ですね(笑)」

 

──その他こだわりなどはありますか?


kawaie. 「ミックス作業にあたっては現代っぽさを意識してほしいと桜井さんにお願いをしました。今っぽさというか、“昔こういうインディー・ギターポップ・バンドあったよね?”、と言われないようにはしたかったんです。また曲順については、一曲目は「arpeggio」、そして「door」を最後にしようと初めから決めていました。あとは聴きやすいように日本語、英語を交互にしながら曲調も考えてバランスをとりました」

フェンスって固いけどすぐに破れたりするじゃないですか?まるで人の心のようだと思って。

ジャケット
ジャケット

──ジャケットのデザインも独特ですね。


kawaie. 「デザイナーさんから女の子を使おうという案を頂いたんですよ。そして私がどちらかというとフェロモンがある方がいいと言ったので、じゃあ下着を使ったイラストでどうかという話になったんです(笑)。最終的にはパンツ見せちゃいました。あとはバックインレイの写真も見ていただくとわかるんですが、フェンスを入れたい!”と思って大阪まで撮影に行きました。はまちゃん(濱田英明:写真家、Songbirdメンバー)に撮ってもらいたくて、お願いしたんです。それでフェンスの写真と私の写真を一日中撮ってもらいました。100回くらいジャンプしましたね(笑)」

 

──何故フェンス?


kawaie. 「固いものと柔らかいもの(女の子)を合わせたかったんです。フェンスって固いけどすぐに破れたりするじゃないですか?まるで人の心のようだと思って。それもアルバムタイトルの“少ししょっぱい”にひっかけているんです。そして女の子は最後の曲の「door」でドアから外に出ていってしまうんですが、そのイメージを歌詞カードで表現しています。ジャケットデザインはかなり力をいれたつもりです」

 

──写真を見るとkawaieさんの顔が写っていませんね。


kawaie. 「顔は写っていませんがそれをアー写としても使っているんです。ハミパラが一人とも受け取られたくないし、私の顔が載ることで私一人のバンドに見えるのが嫌だったので」

 

            

 

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