今年でデビュー20周年を迎えるシンガーソングライターの川本真琴が、20周年記念企画をスタートした。第1弾としてシングル「ホラーすぎる彼女です」を配信リリース、来月4月20日には7インチアナログ盤での発売も決定している。配信にはカラオケ盤も用意されており、一方のアナログ盤にはカップリング曲として「クローバーフィールド」を収録。配信・アナログともに楽しめる内容になっている。そして続く第2弾は短編映画の配信、第3弾は地元福井でのライヴなど続々と企画が進んでいるようだ。
彼女を知らない若い読者のために、簡単ではあるが彼女の経歴にも触れておこう。
96年に岡村靖幸プロデュースによるシングル「愛の才能」でソニー・レコードよりデビューした川本は、「DNA」やアニメるろうに剣心のテーマソングともなった「1/2」などヒットシングルを連発、翌97年に発表したデビューアルバム『川本真琴』はミリオンセラーを記録した。01年にセカンドアルバム『gobbledygook(ゴブルディグーク)』、02年に七尾旅人と共同プロデュースしたシングル「ブロッサム」を発表後、メジャーとの契約を解消、個人事務所を設立して、インディーズ中心の活動にシフトした。
以後もCMでの歌唱や、他ミュージシャンとのコラボ作品の発表、ライヴハウスでのゲスト出演などをしながら音楽活動を続けていたが、10年にサードアルバム『音楽の世界へようこそ』を発表。当時、インディーズ作品では異例のYahoo! JAPANのトップトピックスで取り上げられ、収録楽曲「アイラヴユー」のビデオクリップはYouTubeで48時間以内におおよそ20万回近くの再生を記録し大きな話題となった。
11年に住所不定無職、スカート、三輪二郎らを迎えた作品『フェアリーチューンズ』、12年には交遊のある写真家佐内正史と新作4曲入りCD+60ページに及ぶミニ写真集という形態の『川本真琴 and 幽霊』、13年にmabanuaとの共同プロデュースによる新作『願いがかわるまでに』、14年には新バンド、川本真琴withゴロニャンず(テニスコーツ植野隆司、岡林ロックンロール・センター三沢洋紀、王舟バンドなどで活躍している池上加奈恵、スカート澤部渡)を結成し12月に『ミュージック・ピンク』をリリース、各地の音楽フェスにも出演するなど、20年経った今も精力的に活動中のシンガーソングライターである。
当サイトでは一昨年から継続して川本さんに取材をさせていただいており、今年で3年目を迎える。今年は彼女がデビュー20周年という節目の年ということもあるので、例年以上に取材活動にも力を入れて、読者の方に、ミュージシャンとしての彼女の素直な気持ち、想いをお届けしたいと考えている。
今回のインタヴューは前・後編の二部構成となっている。前編となる今回は「新作のリリース記念インタヴュー」を、そして後編は「20周年記念インタヴュー」として、今だから話せるデビュー秘話などをお届けする予定だ。今年はアニバーサリーイヤーでもあり、タイミングが合えば他にも色々な企画ができればと考えている。そちらも決まり次第メルマガなどで随時報告していきたい。
最後に。 本記事では、最近起こった出来事についても少しばかり触れているが、これは彼女が自分の想いを正しく伝えたいと思って話してくれたことだ。取材時、川本さんは落ち着いて一言一言、丁寧に、言葉を紡ぎ、話してくださった。ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しく思うし、何よりもミュージシャンとしての彼女の活動をリスナー・ファンのみんなであたたかく見守っていければと思う。今年も彼女から目が離せない一年になるだろう。
※本記事についても他の記事同様、当サイトの事前許可のない転載ないし一部引用は、全てご遠慮いただいております。予めご了承の上、お読みください。
インタヴュー・文・撮影 黒須 誠/企画・構成 編集部
取材協力 横浜 黄金町 試聴室その2
※3/12 当初一部文言の記載誤りならびに誤字がありましたので修正しました、失礼しました。
2016年3月3日配信リリース
収録曲
01. ホラーすぎる彼女です 作詞:川本真琴、トクガワロマン / 作曲:川本真琴
02. ホラーすぎる彼女です(Instrumental)
2016年4月20日7インチアナログ盤発売予定
レーベル:MY BEST! RECORDS/diskunion
品番:MYRD96
価格:\1,200+税
<収録曲>
side A ホラーすぎる彼女です
side B クローバーフィールド
<クレジット>
作詞 川本真琴、トクガワロマン
作曲 川本真琴
vocal,chorus & flute:川本真琴
drums:U
bass:高間有一
guitar:野村陽一郎
piano:葛岡みち
arrangement & other instruments:安原兵衛
recording engineer
side A:飯波光洋(studio Fine)
side B:萩原秀彦(mate studio)
mix & mastering engineer:中村宗一郎(Peace Music)
監督・脚本 ムラヤマ・J・サーシ
企画・制作 川本真琴
出演 川本真琴 ラブ守永 野田博史 コウノトリ歌二郎 山田はるこ マーライオン マヒトゥーザピーポー ムラヤマ・J・サーシ 小川ともこ 他
主題歌 「ホラーすぎる彼女です」
作詞 川本真琴 トクガワロマン
作曲 川本真琴
編曲 安原兵衛
協力 黄金町試聴室
2089年春、公開予定
PLAY VOL.31
日時:2016年5月4日(水・祝) 開場18:00 開演18:40
会場:東京・渋谷La.mama
出演:カーネーション、川本真琴 with 98%女子
料金:前売4,000円(+1D) /当日4,500円(+1D)
──新作のリリースおめでとうございます。川本さんは20周年記念企画第1弾として「ホラーすぎる彼女です」を3月3日に配信リリース、来月20日には7インチアナログ盤でも発売、そして企画第2弾として短編映画も発表されるということで、今日は主にこの2つについてお伺いできればと思います。まずは、印象的なシングルのジャケット写真について教えてもらえませんか?
川本真琴(Vo) 「この私が写っているやつは配信用のジャケットで、7インチアナログ盤はまた別のものになるんですよ。まあジャケと言われるとちょっと違うんですけどね(笑)。配信用のイメージって感じで」
──このイメージ写真はどうされたんですか?
川本 「佐内正史さんてわかります?」
──確か幽霊、『川本真琴and幽霊』で一緒に作品出されていましたよね。
川本 「そう、幽霊さんです。その写真家の佐内さんから借りているカメラがあるんですよ。それで撮ったんです」
──この写真の影が気になったんですけど。
川本 「これ自分で撮っているんですよ。こうやって(と自分で撮るポーズをする)」
──この写真を配信用に選んだのは?
川本 「今回[ホラーすぎる彼女です]を主題歌にした短編映画を作っているんです。この映画はこれから何回か作っていく予定なんですけど、その時に撮ったものなんですよ。(映画は)横浜の黄金町付近でずっと撮っているんです。このあたりってまったり感があるんですよね。野良猫があちこちにいたり・・・その感じがすごく好きで。このまったりした感覚で撮れた写真を選びました」
──このあたりって横浜のベッドタウンにもなっているからかマンションや住宅もたくさんあるし、昔からの建物も残っているので趣を感じられるのがいいのかもしれませんね。もしかしてご実家の福井の街並みと雰囲気が似ている・・・などの理由はあったりしますか?
川本 「それはないですね。実家は、もっと“いなたい”ですね。アメリカで言ったらオークランドかな(笑)」
──すみません、よくわからないです(笑)。
川本 「ふふふ」
──福井はアメリカのオークランド・・・うーん、わかんないですねえ(笑)。
川本 「ははは」