「ロックンロールバンド」というモチーフがずっとテーマとしてあったんです。

──アルバムタイトルの由来があれば教えてください。

 

黒沢 「タイトルどうしようかなあと事務所のスタッフと話をしていたんですよ。今回「Rock'n Roll Band」という曲があってライヴでも何回か演奏していたんですけど、あの曲の中に出てくる「ロックンロールバンド」という一つのモチーフみたいなものが、なんとなくですけど、ずっとテーマとしてあったんです。その「バンド」っていう言葉がなんか引っかかって・・・理由はわからないんですけどなんか気になって(笑)。だったら「バンド」という言葉で一つタイトルを決めるのがいいんじゃないかと思ったんです。それでBanding Together という言葉ができて・・・あと「Dreams」という曲もあって、その言葉のイメージ・響きがいいんじゃないかと」

 

──それがジャケットにも反映されていると?

 

黒沢 「ジャケットはスタッフ全員でなんとなく『Banding Together in Dreams』って何だろうと考えていて、「Dreams」からは”なんか花束が見える、綺麗な花が見えない?花が見えるよね?“といった感じで、「Banding Together」からは、”なんかこう結んである感じだよね“、とか”ドラムのケースが見えたり、旅というイメージもあるよね”という話があって・・・“旅といったらそのワゴン車はどんな感じ?、俺は錆びてると思う”といったように言葉から具現化していったんですね。あとは“みんなで車の中で聴けるようなアルバムにしたい”という話が出ていたことを思い出したりして・・・その言葉から醸し出されるイメージとか雰囲気とかあるじゃないですか?それをみんなで形にしようと思って作ったんです」

 

BANDING TOGETHER in Dreams ジャケット
BANDING TOGETHER in Dreams ジャケット

──まるでロードムービーのような世界ですね。

 

黒沢 「そうそう!でも最初にそれがあって向かっていったのではなくて、アルバムタイトルからみんなが想像する勝手なイメージがあって、俺はこれが好きだ、自分はこう思うとかね・・・でもそういっていたものが、段々まとまってきて・・・俺はそれを見ていて“あ、だんだんまとまってきたな”と(笑)。そしてその中心がたまたま僕の曲だったりするだけで、じゃ何かこの作品はそういうもの、今回はロードムービー的な世界観としてみんなに伝えるのがいいのだろうと」

 

自分でプロデュースするようになってから、出てきたものに対して素直に、その曲が行きたがっている方向に作っていくようにしているんです。

──アルバムの前半はアップテンポ気味のバンドサウンドが中心、様々な音で作り込まれていて、後半にいくとピアノを中心としたしっとりとしたバラードという流れになっていましたが?

 

黒沢 「エンジニアで今回共同プロデュースをやってくれている永井はじめさんと一緒に、車の中でなんかこう、曲順でなんとなくストーリーが見えるようにしたいというのはあったかもしれないですね。それで気持ちよく聴いてもらえたらいいなと」

 

──歌詞を見ると“君と僕“が9曲目の「Dreams」以外の全ての曲に登場しています。君と僕がいてこの二人が別れるのか別れないのか・・・男女間の葛藤のようなものが描かれていましたが?

 

黒沢 「・・・なんか今おっしゃられたことがとても新鮮で・・・なるほどなあと(笑)、確かにそうだよね。別れるんだか別れないんだかわかんないですよね」

 

──しかも最後は「Goodbye」で終わっています。ここも綺麗に別れるというよりも、もどかしさややるせなさが行間に見え隠れしていまして。例えば「Rock'n Roll Band」にも回想シーンらしきものがあったり、アルバム全体のストーリーとして男女というテーマがあったのかなと。

 

黒沢 「うーん、テーマとしてそういうのを考えていたわけではないんですよね。自然とそうなったというか。でも、僕はやっぱり聴いていただく方がその曲をどのように受け取っていただいてもいいので、気に入っていただいて“この曲を自分はこういう曲だと思っている”というように、その方の曲にしてもらいたいというのがすごくあるんですよ。・・・例えば自分の解釈でこの曲はこうだと思う・・・僕もすごく音楽が好きで(書き手でもあるけれど)逆にリスナーなので・・・書き手の人がそうも思っていないのに勝手な解釈で自分はこうだと思っている、もしかして作った人にしてみたら大間違いの解釈かもしれないんだけど、僕がその曲がそういう意味で好きで、何かその曲から受けた影響だったり感動だったりしたものがあって・・・そういうやりとりがリスナーの方とできたらいいなと思っているんです。だからさっき話してくれた男女間のどっちつかずな、真ん中みたいな感じに受け取られた世界観もそうだとは思うし、それで嬉しいと思いましたね」

 

──それでは9曲目の「Dreams」だけが情景を中心とした言葉で書かれていてその他の歌に君と僕の対比があるのは?

 

黒沢 「なるほど、確かにそうですね。言われてはじめて気づきました(笑)・・・今回もなんですけど、自分でプロデュースをするようになってから、自分の中から出てくるものにあまりストッパーをかけない、最初から決めない、出てきたものに対して素直に、その曲が出たがっているように、行きたがっている方向に作っていくという、なんとなくですけど・・・そういう形にしているんですよ。だから「Dreams」だけ「君と僕」がないのは、たまたまその曲を書いたときの状況だってことなんだと思いますね」

 

──とすると、ここ4、5年何かしら「君と僕」を意識させられるような状況にいたということでしょうか?例えば東日本大震災がこの間ありましたが?

 

黒沢 「うーん、そういうこともあったとは思いますし影響がないとは言わないけど、音楽を作るときはその一つだけの影響を受けてというよりは、日常の色々な生活があって、その上に成り立って(作って)いるので。またある一つのことに対してこれはこうだからというのを言ってしまうと、それだけに誤解をされてしまうこともあるとは思っているので・・・」

 

                

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