黒沢健一 インタビュー

                

何かメッセージがあるとしたらこのアルバムを聴いた人たちが、一人じゃない気持ちになってくれたらいいなと思うんです。

──それは意外でした。昔のL⇔R時代、特に初期はバンドコンセプトもあって様々な音楽を取り込んで消化して再構成して、ある意味計算されていた部分も多分にあったと感じていたんです。ソロ活動では方向性を変えられたのか、自然と生まれてきた曲が多いのだろうなとは思っていましたが・・・今回のアルバムは?

 

黒沢 「うまくいえないけど、今回どうしたらいいんだろう?と悩んだことはほとんどなかったですね。もともと今回はいっぱい曲を作っていたからスムーズでした。この曲には違うアプローチがきっと似合うよな、って思った曲は入っていないので。この10曲を最初に決めてからレコーディングしたわけではなくて、たくさんある中から段々曲が勝手に動いていったり、アレンジもうちょっと別の方向に・・・とバンバン切っていって残った曲たちなんですよね」

 

──その判断ポイントというのは?

 

黒沢 「やっぱり自分がかっこいいと思えるときとか、リスナーに戻って聴いたときに気持ちいいと思えるときですよね(笑)。そういえば「Lay your hands」はもともと入れるつもりはなかったんですよ。以前ライヴ盤の配信で出していたので、なんか別にいいのかな、なんて思っていたらエンジニアの永井さんが、“なんでいれないんですか?”、“いやだって前リリースしたからいいんじゃないですか?”って言ったら、“そういう問題じゃない!”、って言われて(笑)。“なんでそう簡単にそう言うの?アルバムバージョンもちゃんと録ったんだから入れましょうよ!”、って言ってくれて。でもライヴで出したそれとは違った感じで、ピアノを中心として・・・彼がどちらかというとリーダーシップをとって入れた曲なんですね」

 

──今までお話を伺っていますと、全ては結果論の集大成であるということなんでしょうけど、でも詞の世界には一貫性が感じられますし、曲の構成なども流れがあるように受け取れたので、そのはざまというか間にある気持ちがリスナーに届いてほしいなと思います。

 

黒沢 「うんうん、そうですね。僕はソロなので、一丸となって何かをやるとかそういうことに対してというより、何か気持ちの上でみんなと楽しめればいいなと・・・さっきも言った車の中で聴いてもらって楽しんでもらえたらいいなとか、自分ができることでなんかみんなを楽しませたい、自分がやれることでみんなが誰かが喜んでもらえたらこの上なく嬉しいから、何かメッセージがあるとしたらこのアルバムを聴いた人たちが一人じゃない気持ちになってくれたらいいなと思うんです」

 

──一人じゃない気持ちといいますと?

 

黒沢 「Banding Together、何かまとまっている感じですね。あとは僕の中にもあなたの要素があるし、あなたの中にも僕の要素があるし、なんとなく曲を通して気持ちの通い合いができたらいいなと思うんです」

 

今回L⇔Rが全員揃うとかではなくて、なんとなく自然な流れで音に対して素直にやってもらえるかなと思っていたら、みんな集まってくれて・・・嬉しかったですね。

──今回L⇔Rのメンバーが全員参加してらっしゃいますよね。木下さんとは『Focus』で、秀樹さんとはハンキーパンキーなどでも一緒にやられていましたけど、嶺川さんも含めて全員参加されたのはソロになってから初めてだと思うのですが?

 

黒沢 「そうですね。曲はバラバラなんだけどみんなが参加してるんだよ、ってみんな(L-R メンバー)に言ったらみんな、えーよく揃ったね!、と驚いてましたね(笑)」

 

──これは誰の発案なのですか?

 

黒沢 「いや、もともと全員揃えようと思っていたわけではないんですよ。ただ長い間レコーディングをしていたので・・・この曲秀樹のギターが欲しいな、とかね。「many things」って曲がピックアップされたときに秀樹のギターが欲しいなと思ってオーダーしたら受けてくれて。ただ彼はスタジオには来れなかったのでデータで送ってもらったんですけど。嶺川さんは・・・去年かな?湯川潮音ちゃんから電話があって、“黒沢さんて嶺川さんとバンドやっていたんですね?私、今嶺川さんとライヴをやることになって一緒にリハーサルをやっていて、たまたま休憩時間に話をしていたら、黒沢さんと昔バンドをやっていたことを聞いてびっくりしちゃって、今隣にいるんですけど”って代わってもらって、“あ、もしもし久しぶり、元気?また機会あったらお茶でもしようね”とかでその場は終わったんです。そのあとでスタジオに戻って作業していたら永井はじめさんが、“僕、黒沢さんのコーラスだけじゃなくて女性の声で上のトーンとか欲しいんですよね”、と。この間の『Alone Together VOLUME ONE』もそうなんですけど、今回もずっと僕のコーラスばかり録っていたから飽きちゃったみたいで(笑)。そんな話をしていたら、この間嶺川さんと話をしたことを思い出して、これはなんかのタイミングだろうと思って、連絡して、“久しぶりにコーラスで参加してもらえませんか?”って聞いたら、“全然OK”って。別に仲が悪いとかじゃなくてみんな忙しいから、集まろうといっても集まらないときは集まらないし、来てもらえたりするときはそういうタイミングなのだろうし・・・なんか無理に集めようとか、今回L⇔Rが全員揃うとかではなくて、なんとなく自然な流れで音に対して素直にやってもらえるかなと思っていたら、みんな集まってくれて・・・嬉しかったですね」

 

─正直知ったときは驚きました。今までそこはないのだろうと・・・端からはそう見えていましたので。でも言われてみたら、L⇔Rのメンバーはもとより、遠山さんも岡井さんもずっと長いおつき合いですから、黒沢さんのキャリアを長い間支えてこられた方がまた一斉に集まって・・・まさにそれもBandingな気がします。

 

黒沢 「そうなんですよ、本当にありがたいことですよね。アルバムタイトルにしろこの状況にしろ、何か計算したとかじゃなくてなんとなくだらだら作ってきて(笑)、単に『Focus』が終わってからアルバムに向けて動いていて・・・前もね、多分そういうことを、頭で考えたりとかしてやろうと思ったりとかできなかったのかというとそういうことではなかったと思うんだけど、なんとなくそのタイミングとか、そういうことってのはね・・・だから自分でもびっくりしてますよ、こういうことってあるんだなって」

 

──お話を聴いて現状をとても楽しまれていると思いました。

 

黒沢 「うん、そうですね。何故こういうことになったのかはわからないんですけど・・・楽しかったですね(笑)」

 

                

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